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ネットワークの基礎(ネットワーク方式・データ通信と制御・通信プロトコル・ネットワーク管理・ネットワーク応用)

テクノロジ系 / 技術要素

この単元の範囲

基本情報技術者試験のシラバスは「技術要素」を大分類3として位置づけ、その中の中分類10が「ネットワーク」である。LAN・WANの土台(ネットワーク方式)から、データが正しく届く仕組み(データ通信と制御)、通信の取り決め(通信プロトコル)、動いているネットワークを維持・監視する方法(ネットワーク管理)、実際に使われるサービス(ネットワーク応用)まで、設計・運用・利用を一気通貫で扱う。層ごとに登場するプロトコルや機器を対応付けて理解するのが到達目標になる。

1. ネットワーク方式

インターネット接続を仲介するインターネットサービスプロバイダ(ISP)の料金には、使った分だけ払う従量制と毎月定額の月額固定料金がある。データを小さな単位に分割して送るパケット交換網が現在のインターネットの主流であり、通信中は回線を占有する回線交換網とは仕組みが異なる。IoT機器が情報を収集するセンサーネットワークもこの分類に含まれる。

物理的な接続方式には、ケーブルを用いる有線LAN(銅線を使う同軸ケーブル・より対線、光を使う光ファイバケーブル)と、電波や赤外線を使う無線LAN無線LANアクセスポイント、識別名のSSID)がある。

回線の性能は数値で評価する。たとえば1時間に30件の通話があり平均通話時間が4分なら、呼量は30件×4分÷60分=2アーランと計算できる。転送速度を表すbps、伝送誤りの割合を示すビット誤り率も基本指標である。

インターネット技術としては、32ビットのIPv4と128ビットのIPv6があり、一意なグローバルIPアドレスと組織内だけのプライベートIPアドレスNATが相互変換する。ドメイン名を解決するDNS、通信優先度を制御するQoS、不正通信を遮断するファイアウォール、認証を一元管理するRADIUSもここに含まれる。

2. データ通信と制御

接続形態(ネットワークトポロジ)には、1対1のポイントツーポイント、階層状のツリー型、幹線に連なるバス型、集線装置を中心にしたスター型、環状のリング型があり、現在の企業LANはスター型が主流である。

通信の役割分担を7段階に整理したのがOSI基本参照モデル(ISO/IEC 7498-1として標準化)で、下から物理層データリンク層ネットワーク層トランスポート層セション層プレゼンテーション層アプリケーション層と積み重なる。郵便にたとえると、物理層は道路、ネットワーク層は宛先住所による経路選択、トランスポート層は「確実に届いたか」の確認にあたる。

伝送方式には単方向半二重全二重があり、波長で多重化するWDM、時間分割のTDMAも使われる。機器は担当層で分類でき、リピータハブは物理層、ブリッジレイヤー2スイッチはデータリンク層、ルータレイヤー3スイッチはネットワーク層で動作し、ゲートウェイプロキシサーバも上位で機能を仲介する。ループ経路を止めるスパニングツリーも冗長化LANで重要である。

誤り検出のパリティチェックCRC、送受信の速度を揃えるフロー制御、通信路を確立するコネクション方式と確立しないコネクションレス方式がある。複数端末の調停には、衝突検知後に再送するCSMA/CD(有線)、衝突回避してから送信するCSMA/CA(無線)、送信権を巡回させるトークンパッシングがある。

3. 通信プロトコル

インターネット標準のTCP/IPでは、データリンク層にPPPPPPoEIPoEVLAN、ネットワーク層にIPアドレスを区切るサブネットマスク、集約表記のCIDR、経路制御のルーティングユニキャストブロードキャストマルチキャスト、エラー通知のICMP(pingの基盤)がある。トランスポート層では、信頼性重視のTCPと速度重視のUDPポート番号(HTTPは80番など)で宛先アプリケーションを識別する。

アプリケーション層は用途で使い分ける。WebのHTTPHTTP/2HTTP/3)、メール送受信のSMTPPOPIMAP、ファイル転送のFTP、名前解決のDNS、遠隔操作のTELNET、自動アドレス割当のDHCP、時刻同期のNTPが代表例である。

LAN/WANインタフェースは、有線が10BASE-T10GBASE-Tのように速度で呼び分けられ、無線LANはIEEE 802.11規格の世代呼称が試験で問われる。Wi-Fi 4=IEEE 802.11nWi-Fi 5=IEEE 802.11acWi-Fi 6=IEEE 802.11ax(2.4/5GHz帯)、Wi-Fi 6E=IEEE 802.11ax(6GHz帯拡張)という対応を押さえる。メッシュWi-Fi、分散オブジェクト技術のCORBAもこの分類である。

4. ネットワーク管理

構成管理はネットワーク構成やバージョンを記録し、ソフトウェアで通信を制御するSDNと実現プロトコルのOpenFlowが近年の要点である。障害管理は情報収集から切分け・原因特定・復旧・記録までを扱い、死活監視もここに含まれる。性能管理ではトラフィック監視を行う。

運用管理ツールには疎通確認のping、経路確認のtraceroute、設定確認のifconfigip、通信状態確認のnetstatss、アドレス対応確認のarp、名前解決確認のdigがある。「サイトにつながらない」トラブルでは、まずpingで疎通を確認し、届かなければtracerouteでどの区間で止まっているか切り分ける。

機器を一元監視するSNMPは、機器側のSNMPエージェント、集約するSNMP管理ステーション、管理情報のMIBからなる。仮想的な通信路を作るトンネリング、ネットワーク機能をソフトウェア化するNFVも押さえたい。

5. ネットワーク応用

電子メールは送信にSMTP、受信にPOP3IMAP4を使い、添付を扱うMIME、装飾メールのHTMLメール(MHTML)Webメールがある。WebではHTTPを暗号化したHTTPS、動的処理のCGI、状態保持のcookieセッションIDが使われる。ファイル転送ではアップロードダウンロードに加え、アクティブモードパッシブモードの違いがFTPの出題ポイントである。検索エンジンには全文検索型ロボット型がある。

社内限定のイントラネットでは拠点間を暗号化するVPN、社外連携のエクストラネットではECEDIが使われる。通信サービスには専用線サービスFTTH広域EthernetIP-VPNなどがある。

モバイルでは、通信網を借りるMVNOLTEVoLTE5Gローカル5G、物理SIM不要のeSIMが身近である。基地局を切り替えるハンドオーバー、他社網を使うローミング、複数アンテナのMIMO、省電力広域のLPWAも試験範囲である。

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参考文献

  • IPA「基本情報技術者試験シラバス Ver.9.2」大分類3「技術要素」中分類10「ネットワーク」(PDF本文表記でp.32〜p.37): https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/omgdg50000005kpe-att/syllabus_fe_ver9_2.pdf
  • Wi-Fi Alliance「Wi-Fi Alliance introduces Wi-Fi 6」(Wi-Fi世代呼称とIEEE 802.11規格の対応関係): https://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-introduces-wi-fi-6
  • JPNIC「OSI基本参照モデル」解説(ISO/IEC 7498-1): https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/osi.html

本資料はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表する「基本情報技術者試験シラバスVer.9.2」(大分類3「技術要素」中分類10「ネットワーク」、PDF本文表記でp.32〜p.37)に基づく自作の解説テキストである。

  • シラバス本文の用語例・分類構成を参照しつつ、解説文・具体例は本資料著者(nomuraya-dojo)の独自作成である
  • Wi-Fi世代呼称(Wi-Fi 4/5/6/6E)とIEEE 802.11規格の対応関係、OSI基本参照モデルの標準規格番号(ISO/IEC 7498-1)については、シラバス本文に加えてWi-Fi Alliance公式発表・JPNIC解説記事で外部クロスチェックした上で記載している
  • 末尾の「オリジナル演習問題」はIPA過去問を模倣・転記せず、本資料著者が独自に作成したものである
  • シラバスそのものの著作権はIPAに帰属する。原文はIPA公式シラバスPDFを参照すること
  • 本資料の利用にあたっては、IPAの著作権・利用規約に従うこと

著者: 本資料著者(nomuraya-dojo)

考えてみよう

既定では正解・不正解の判定はしません。自分のペースで「答えを見る」を。採点してほしい場合だけ「採点してほしい」を押してください。

問1

複数の利用者が同一の通信回線を共有し、送信データを一定の大きさに分割してヘッダーを付与し、蓄積交換によって伝送する方式はどれか。

ア 回線交換方式

イ パケット交換方式

ウ 単方向通信方式

エ センサーネットワーク方式

解答:イ

解説: パケット交換方式は、データを一定サイズのパケットに分割してヘッダーを付与し、複数の利用者で回線を共有しながら伝送する方式で、現在のインターネットの基盤となっている。回線交換方式は通信中に回線を専有する方式で電話網などで使われる。単方向通信方式は伝送方向を表す語、センサーネットワークはIoT機器等の応用分野を指す語であり、いずれも設問の説明とは一致しない。

問2

OSI基本参照モデルにおいて、IPアドレスに基づく経路選択(ルーティング)を行い、異なるネットワークセグメント同士を接続する機器が動作する層はどれか。

ア 物理層

イ データリンク層

ウ ネットワーク層

エ トランスポート層

解答:ウ

解説: ルータやレイヤー3スイッチはIPアドレスに基づく経路選択を行うため、OSI基本参照モデルのネットワーク層で動作する機器に分類される。物理層で動作するのはリピータやハブ、データリンク層で動作するのはブリッジやレイヤー2スイッチである。トランスポート層はTCP/UDPによる通信の信頼性制御を担う層であり、経路選択を行う機器の動作層ではない。

問3

Wi-Fi Allianceが定める無線LANの世代呼称のうち、物理層規格としてIEEE 802.11axを採用しているものの組合せとして最も適切なものはどれか。

ア Wi-Fi 4とWi-Fi 5

イ Wi-Fi 5のみ

ウ Wi-Fi 6とWi-Fi 6E

エ Wi-Fi 6Eのみ

解答:ウ

解説: Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eはいずれも物理層規格としてIEEE 802.11axを採用しており、Wi-Fi 6は2.4GHz帯・5GHz帯を、Wi-Fi 6Eはこれに加えて6GHz帯を利用する点が異なる。なお、Wi-Fi 4はIEEE 802.11n、Wi-Fi 5はIEEE 802.11acにそれぞれ対応する。

問4

あるサーバにWebブラウザで接続できないという申告を受けた。ネットワーク的な原因かどうかを切り分けるために、まず対象サーバまでの応答の有無を確認し、応答がない場合はどの区間で通信が途絶しているかを経路上の中継機器ごとに確認したい。この2段階の確認に用いるコマンドの組合せとして最も適切なものはどれか。

ア ping と traceroute

イ dig と arp

ウ netstat と ifconfig

エ ss と ip

解答:ア

解説: pingは対象ホストまでの疎通(応答の有無)を確認するコマンド、tracerouteは対象ホストまでの経路上の中継機器(ルータ)ごとの到達状況を確認するコマンドである。この2つを組み合わせることで、通信できない原因がどの区間にあるかを切り分けられる。digは名前解決の確認、arpはMACアドレスとIPアドレスの対応確認に使うコマンドであり、netstat・ss・ifconfig・ipは自端末側の通信状態やインタフェース設定の確認に使うコマンドであるため、経路上の障害切り分けには直接使わない。

問5

本社と複数の支社を、公衆回線を経由しつつ暗号化技術によって専用線接続であるかのように利用できるようにする技術として、最も適切なものはどれか。

ア EDI

イ VPN

ウ CGI

エ MIME

解答:イ

解説: VPN(Virtual Private Network)は、公衆回線上に暗号化された仮想的な専用回線を構築し、拠点間を安全に接続する技術であり、イントラネットを構成する代表的な手段である。EDIは企業間で取引データを標準化してやり取りする仕組み、CGIはWebサーバ上で動的処理を行う仕組み、MIMEは電子メールに音声・画像などを添付するための規格であり、いずれも拠点間の仮想専用回線を構築する技術ではない。

力試ししたい方は クイズ形式の演習(任意) もあります。読むだけでも十分です。